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北海道に憧れ、北海道を愛し、しっかりとたくましく北海道に根を下ろしている人々のドキュメンタリー。
第七回は倶知安町に酒蔵を構える 二世古酒造 専務 水口清さんにお話を伺いました。
大正時代から続く旧二世古酒造から数え、今年で90周年を迎える地酒メーカー。年間醸造量約300キロリットルの蔵では"二世古と言えば原酒"と、こだわりをもち、商品の多くには割り水を加えない原酒を出荷しています。
再生にはQuickTimeが必要です。
大正5年から続いていた旧二世古酒造が廃業になり、 売りに出ていた酒蔵を不動産業を営む父である先代(会長)が醸造権ごと買い取ったのは昭和47年。
専務水口清さんは札幌から倶知安町へ移り住み、先代に酒蔵を託され、兄(社長 汪さん)と共に造り酒屋を始める。 旧二世古酒造から働く数名の従業員の協力で一から酒造りがスタートした。
"二世古"の愛好家にまずは自分たちの顔を知ってもらいながらの営業活動、販路拡大の為に明け暮れる一年を過ごした。 翌年は赤字経営だった。今後どうするかを話した際、「酒造りを辞めてしまおうか」。 だが、それではあまりにも酒蔵を買った意味がない、まして格好悪い。「ならば一つやるだけやってみよう」と再起を図った。
「我々は、老舗・大手のようなやりかたでは当然通用しない」 経営・販売・醸造において試行錯誤を繰り返しながら"自分たちのやりかた"を確立していった。
ニセコアンヌプリのふもとにある羊蹄山を望める蔵で作られる酒には、 アンヌプリの湧き水で造られる"二世古"と、隣町、京極の羊蹄の噴出し水を使った"京極"の二つの銘柄が揃う。
二世古酒造で造られる商品ラインナップにはこだわりがある。 それは原酒。原酒は酒の親と言える存在だ。 昭和47年から二世古酒造では原酒を日本全国で初めに出した。 当時、市場に出回っていない酒が何かないかと考えた時に生まれた発想が原酒。今では二世古酒造の個性とも言えるようになった。
「大吟醸や吟醸などの良い酒はとにかく良いけれど、名前だけをみて惚れてしまうと、本当に良い酒はいったい何か」と考えた。
日本酒は普通ブレンドしている。それはなぜか。
「味が一律にならなければ、次のお酒は買ってくれないから売れないでしょ。 前に飲んだお酒と近い味になるようにブレンドをするわけで、これは違法でもなんでもありませんし、普通に考えるとわかると思うけど、 お酒に同じ味というものはありえないんです。 それは、貼ってあるラベルだけをみて、同じだと思って、実は似た味を飲んでいるだけであって、まして同じものにはなりえない。 ジュースだってそう。100%の原液で飲まないのかなってなるでしょ。食べておいしいみかんをわざわざ水で薄めて果汁70%とかって。それがおいしいと言えますか?」
ブレンドをしない酒こそが、原酒であり、同じお酒は二度出来る事はない。
蔵出しの大吟醸や吟醸などの高級酒もブレンドをせず造ったものをそのまま出すという。
「出来たそのままがおいしいと思ってやっています。わかっていただける方に支持していただけたら」
たとえ小さな酒蔵でも、二世古酒造が生き延びた"自分たちのやりかた"だ。
「生酒があるけど、例えるならば、あれは小学生のようなお酒」だという。
水口さん流のレベルの例えが出た。誤解を受けたら困るが、もちろん二十歳にならないと飲む事はできない。 あくまで例えとして受け止めていただきたいが、生酒はお酒の飲めない人に飲んでもらえるよう作られたものである。 規定がないから15度以下のものも市場にはある。
生酒と表記された大半はアルコール度数が低く、お酒の小学生になる。 一般酒の規定が15〜16度、お酒の中学生。
原酒は17〜18度以上、濃いもので21度ある。これをレベルで言うならお酒の高校生だと語る。 二世古酒造ではお酒の高校生を主体にしているという事。同じ生でも生酒の生原酒も出している。
「どんなに良い酒だとしても、薄めて飲んではおいしくない」と酒の造り手として語る。
喉越しが良く、キレのある辛さに男気を感じる味わいが待っていた。大人の辛口と言える。
普段辛口派ではない方でも挑んでみてほしい。大人の一歩を踏み出せる気がした。
また、辛口派なら落ち着いて味わうことが出来そうだ。
本物志向の酒、本質を見極めて選ぶ事が一般消費者の私たちに求められている。
自然と原料と蔵人の想いが三位一体で飲む人を酔わせるのであろう。
二世古酒造の冬期間には清酒の原点ともいわれる活性清酒も造られる。 これは期間限定(11月から3月)の主力商品で、発砲性のにごり酒である。 寒い時期に寒い地方で造られるか冷蔵施設が整う蔵が主に生産している。 熱処理はせず、生の状態であるがゆえ、扱いが難しく売り先も限られ、全国でも希少なため市場でも滅多にお目にかかれない。
毎冬蔵元から直送で購入するリピーターが多い。




日本酒だけではなく、蔵では今年から手がける新しい試み『焼酎』造りが始まり7月から新発売した。
酒を搾ったあとの酒かすに、原料米を加えて発酵をさせ、単式の減圧蒸留機で造る乙類焼酎。
雄大なニセコの山々に抱かれた酒蔵から誕生した焼酎は、"蔵元・二世古"が自然の営みと共に生まれたことを感じさせるネーミングが揃う。
39度の『豪雪』、30度の『羊蹄』、25度の『二世古正中』。
「男らしい人に飲んでもらいたい。そして男らしく割らないで飲んでもらいたい。
ストレートで飲む為の乙類ですから。
割って飲むんだったら、うちの蔵の酒を飲む必要はないでしょう。
焼酎もストレートで飲んでいただきたいと言う私の希望です。
そういう方向性を北海道で最初にやる先駆者ですから
駄目であろうが今まで来た訳ですから、焼酎もそういう飲み方をしてほしい。
二世古イコール原酒。焼酎も原液で飲んでもらいたいです。」と、
一本一本にはニセコの風土が息づき、
乙類焼酎のキレ味、香り、飲みやすさは焼酎愛飲家の心を掴むことになるだろう。
良い酒を造っているという自負をもち、二世古の酒造りを追求する精神には、 男らしく、骨太で、力強く、こびることなく"ありのまま"から変わることはない。